技術的記事
高性能ランドリー機器の生産能力を最大限に活用するためには、工場全体に渡る品物の流量をいかにコントロールできるかがカギとなります。機器の生産能力に見合った量を投入するために、マテハンシステムで適時に適切な場所に品物が流れていることが課題となります。
入荷仕分けと保管
Futurailは、入荷品バッグ、出荷品バッグを単一のレールシステムで搬送、保管することで、工場の全工程を自動化し、効率性と利益率を高めるカスタマイズ可能なマテハンシステムです。投入は、バッグ、ビニール袋、カート、または直接投入など、様々な方法が可能で、投入後、仕分け、計量し、バッチ化します。
Futurailは、個々のお客様のニーズに合わせ、オペレーターの作業負担を軽減します。入荷仕分けと出荷仕分け両方に対応し、品物ごとに効率的なマテハンを実現します。下記は搭載可能なオプションの一例です。
• 大型マルチディスプレイ。計量器、品物カウンターで顧客別・カテゴリー別の仕分け分類表示。生産性モニタリング。
• 人間工学の見地から設計された大型傾斜開口の容器。ミスなく確実に仕分け、立ち仕事のストレス、疲労を軽減。
• 連続仕分け両開きドア。生産性を高め、オペレーターのダウンタイムを短縮します。
• 仕分け容器の自動キャリブレーション。生産性を高め、メンテナンスも容易に。
• カウントフレーム。個々の品物は仕分けされて容器にまとめられる際にカウントされます。
荷重サイズ別に仕分け後、バッチ化された状態で持ち上げられ、Futurailレールシステムの中にカテゴリー別、経路別、または顧客別に保管された上で、次に搬送されます。
入荷・出荷バッグ保管エリアはいずれも全自動化されており、要件に応じてカスタマイズ可能です。生産量、時間毎の処理能力に応じて、工場の洗濯機器が効率的に能力を発揮できるように保管エリアの広さを変えることができます。保管エリアにはペアリングループや再循環ループも備えられており、必要とされる流量に対応可能です。
バッグは自動的に、Futurail入荷保管エリアから連続洗濯機、洗濯脱水機、手動落下位置まで搬送され、個別のニーズに応じて特定の排出地点に呼ばれます。あるカテゴリーや顧客で、特定の日時に生産が必要な場合、Futurailシステムを自動化し、保管場所、プログラミングされたバッグから排出地点までのコールオフ(呼び戻し)シーケンスを事前定義することで、対応可能となります。
洗濯後、仕上げ要件が事前設定されたバッチは出荷側の個別のFuturailレールシステムに再び入れることができます。クリーニング済みの品物がバッグに入ると、Futurailソフトウェアは荷重に関連した顧客別およびカテゴリー別バッチ情報を認識します。この情報に基づいて、Futurailは自動的にバッグをその次の、あるいは最終的な送り先へ差し向けます。乾燥を必要とする荷重である場合は、乾燥機へ送られます。乾燥機から出たバッチは出荷側のシステムに再び入り、選択された仕上げ装置へ搬送されます。乾燥を必要としない荷重である場合は、割り当てられた仕上げ装置へ直ちに送られます。
Futurailシステムは、工場の未使用の上部空間にバッグを保管することで、スペースを有効活用し保管場所を増やすことができます。二重ハンドリングを回避し、工場全体にわたる品物の流れを最適化することで効率性を高めます。モジュール式レールシステムとなっており将来に発生するニーズに応じて拡張可能。将来的に事業を拡大する際にも対応可能です。
入荷衣類の自動仕分け
弊社パートナー企業Inwatecによると、未来のリネンサプライ工場は手作業による工程をほとんど必要とせず、複数の知能ロボットシステムが連動して完璧な仕上がりの製品を生産するクリーンで安全な作業場になるといいます。特に入荷仕分けには、まだ最適化する余地が多分にあります。先進技術と自動化を導入すれば、こうした最適化が可能になります。
Inwatecのソリューションを採用して入荷品のハンドリングを自動化すれば、汚れた品物との接触機会が最小限に抑えられ、同時に作業効率性も高まり、従業員の安全・衛生条件が高まります。また、従業員数や生産量が大きく変動しても、より迅速に対応することができる他、あらゆる品物をいつでも適正に処理することが可能になります。
Inwatecの衣類向けモジュール仕分けシステムでは、仕分け前の衣類がバッチの中へ直接送り込まれます。事前仕分けは必要なく、脱いだ服をそのまま放り込むことができるため、手作業量が最小限に抑えられています。最初のステーションで、THORロボットが1,500点を自動仕分けし、システムへ送ります。THORの知的ソフトウェアと特殊設計のデルタロボットアームが連動し、高い精度と効率性で衣類を丁寧にピックアップします。
ODIN X線スキャナーは、見つけにくい場所にある異物を自動的に検知します。衣類にシミが残っていたり、品物の荷重や、ポケットに紛れ込んでいたペン、口紅、はさみなどが原因で機械が故障してしまったりする事態は避けなければなりません。ODINはX線と人工知能を駆使し、自動的にスキャンを実行して有害な物品が存在している可能性を調べ、異物が混入した衣類を選別します。針のような、小さくても危険な物品はODINによって確実に検知され、選別されます。これにより、目視で発見できなかった異物で負傷したり、布地に穴が開いたりする事態を防ぐことができます。処理される作業着のうち、およそ5%に異物が含まれていると言われますが、それらの異物が衣服から直接的、かつ自動的に除去されることから、手作業でこれを行う場合よりも貴重な労力が節約されることになります。
洗濯工程に入る前に異物を取り除き、仕分けと洗濯が確実に正しく行われるようにすることが極めて大切です。InwatecのHEIMDALモジュールは、衣類を識別し、必要な洗浄プログラムを判断します。HEIMDALは個別のRFIDタグを読み取り、学習機能搭載スマートカメラで、色、模様、素材といった視覚的な特性をもとに衣類の種類を特定することが可能です。リネンサプライ工場のITシステムと連携し、RFIDタグに関連するすべての情報を検索して、特殊な仕分け手順を実行し、それと同時に対応するX線画像などの情報を保存することが可能です。
最終的に、識別された品物は自動的にカテゴリー別に仕分けされます。Inwatecのシステムはモジュール方式を採用しているため、仕分けカテゴリーをいくつでも作成することができます。仕分けは、台車、あるいはサイロを単位として実施することが可能です。BIFRÖST.Binのサイロ式仕分けを実行することで、直接バッグシステムと連洗機に搬送され、よりスムーズなワークフローが実現します。
Inwatecでは、重量のある入荷品のハンドリング作業をなくし、ロボットと人工知能で単純化を図り、本来は極めて多大な労力を要する工程を省力化することで、より健康的で安全な作業環境を実現することに努めています。
出荷側:衣類の仕分け
Metriconシステムにより、出荷ハンドリングが容易に、効率化されます。効率的に、適正な仕上がりで、着用者の元に衣類をお届けできます。
Metricon仕分けシステムは、高性能と長寿命を誇る信頼性の高いソリューションです。これまで数十年にわたり、JENSENはお客様のニーズに応えるべく、最先端の革新的仕分けシステムの開発に取り組んで参りました。現在では、Metriconシステムが世界のおよそ50カ国で広く導入されており、弊社の事業は拡大し続け、今後の製品開発と工場面積の拡大に向けて準備を整えているところです。
弊社は、小型の衣類搬送システムから、最高速、最大規模を誇る大型のシステムに至るまで、あらゆるお客様に向けて豊富なソリューションをお届けしております。衣類は畳まれた状態でも、ハンガーに掛けられた状態でも投入可能です。お客様工場の構想段階から計画策定と遂行、さらには最終的にシステムの設置とコミッショニング(性能検証)の段階に至るまでサポートして参ります。
お客様の規模に合わせた最も効果的な最善のソリューションをお届けできるよう、きめ細かい対応をさせていただきます。全世界を網羅する弊社の販売・サービスネットワークを通して、弊社の専門販売員・技術者がお客様のご要望に真摯に対応させていただきます。お客様個別の要望を満たすために最善のソリューションの開発を目指すケース、既存の生産ラインを可能な限り止めることなくシステムを交換することを目指すケースもございます。
Metriconシステムは、スウェーデン自社工場の熟練した技術者によって開発、設計されており、高い精度を誇ります。自社の製品やシステムは3D設計しております。お客様のよりハイレベルなご要望にお応えするため、弊社は自社の工場面積を2倍に拡充いたしました。
弊社が認定する設置作業の専門チームは、卓越した能力と豊富な経験を有しています。非常に精度の高い仕事をこなす弊社の専門チームが、システムの組立から始動までの過程を一手に引き受けます。
私たちは、お客様の安全はもちろん、自社のスタッフの安全も最優先しております。弊社のすべての製品にはコンポーネントのレベルでもシステムのレベルでも徹底したリスク分析が実施されており、必要に応じて安全措置が講じられております。これらの安全措置とは、安全ネットやフォームカバーといったシンプルで力学的な安全具の採用であったり、安全レールやロック式ラダーによる立入禁止区域の導入であったります。システムを安全に操作できるように、JENSENではシステムの安全な操作方法について詳しく解説するトレーニングやセミナーを開催しております。
出荷側:スタックリネンの仕分け・保管システム
ランドリーの全自動化は、折り畳まれた状態で積み重ねられたリネン類のハンドリングで完成します。Jenwayは、クリーニングが済み、折り畳まれた状態で積み重ねられたリネン類の移送、ならびに必要に応じてその仕分けに使用される一連のコンベアーの集合です。
アイロンがけを行うラインの傍らでは、操作者がクリーニング済みの折り畳まれたリネン類を手作業にて台車に入れた後、ランドリー内で移動させます。
仕上げ装置から送られてくるリネンを収集し、出荷エリア付近の中央地点に導くことで、機械の傍らでの手作業や仕上がったリネン類の手作業による搬送が最小限に抑えられます。このようにして、Jenwayは投資利益を非常に早く回収してくれます。
Jenwayの追跡機能により、システム内を流れるリネンはタグを使わなくても精密に追跡することができます。この機能により、必要に応じて仕分けを行うことが可能になり、オペレーターはJenwayの終端での台車への積み込み地点でそれぞれの品物に関するデータを入手することができます。また、この機能により、スタックが移送中にぶつかることはなく、また何ら干渉を受けることなく確実に搬送されるように、スタック間の距離が保たれることになります。
Jenway - 仕上げられ、積み重ねられたリネン類を移送するだけではありません。
スタックリネンの仕分けでは特に、お客様ごとに指定のリネンとなるホテル・レストラン向けリネンサプライ工場において重要な工程となります。Jenwayの終端で、顧客別に仕分けされます。ディスプレイには顧客の名称が表示されるため、オペレーターは到着するリネンがどのホテル、レストランのものなのかを容易に判別することができます。ヘルスケア業界向けランドリーでは、大量のリネン類をカテゴリー別に仕分け、割り当てられた保管用コンベアー上に保管することができます。こうすることで、手作業でカテゴリー別にスタック状に分けて収納する手間が省けます。スタックはJenwayから直接、台車へ積み込むことができます。このように、Jenwayは工程での中間の収納作業を全面的に自動でおこないます。
測定しなければ管理はできない:データの重要性
ランドリーにとって最も大切なリソースは、データです。その点で、データを収集分析、活用するソフトウェアは、非常に重要な役割を果たします。
ABSランドリービジネスソリューションズ、ならびにJENSEN-GROUPのチームは、これまで数十年にわたり、ランドリーにおけるデータ活用に取り組んで参りました。2017年に創業した合弁企業、Gotli Labsと共に、今後もお客様のビジネスを成功へと導くべく、邁進してゆく所存です。
ランドリーに携わる人と機械をGlobeシステムにつなぐことで、現場のプロセスをリアルタイム把握が可能となり、適切に経営管理に活用することができます。
データの収集は、リネンサプライ工場で最も重要です。データ収集により、管理者はリアルタイムの実績に基づいて工程を最適化が可能です。「何が」と問いかけるばかりではなく、「なぜ」という問いかけもすることで本当の違いが生まれてきます。すなわち、なぜ現在の状況に至ったのかを把握し、どこから、どのように改善に着手するべきなのかを明らかにすることが大切なのです。Gotli Labsはモノのインターネット(IoT)の台頭を好機としてとらえ、スタッフ管理、データ管理、およびスマートBIダッシュボードを基盤にリネンサプライ工場に向けた独自のインダストリー4.0ソリューションを提供します。このようにして、未来の技術を用いた知的ソフトウェアソリューションを今、創出することができるのです。
Globe 4.0、インダストリー4.0、およびLEAN
Gotli Labsが開発した完全ウェブベースのインダストリー4.0ソフトウェアソリューション、Globeは、設備、生産状況、従業員の生産性、タイムレコーダー、ユーティリティ、人材(HR)、人件費に関した詳細なデータを収集します。このデータが価値、バリューストリーム、フロー、プル、完成度という、LEAN生産原則と結び付けられ、生産に関する統計情報が視覚化されてリアルタイムで作業場のフロアに表示されます。Globeは完全にインタラクティブで、適時に正しい決断を下すための管理に役立つGlobe Alert、Shop Floor Blogging、およびInteractive Personal Screenを使用します。
Globeビジネスインテリジェンス(BI)
弊社は、強力なビジネスインテリジェンスレポート&ダッシュボードを実現することに成功しています。OracleとMicrosoftのAzure/PowerBIを基盤とする弊社のGlobe BIモジュールは、戦略的に正しい運用を日々可能にするために欠かせないインサイトをもたらす解析システムです。Globe BIは傾向とパターンを特定し、人と機械の両者がつながる手段を生み出します。
生産予測
スマートなモジュール式ランドリーが導入されるケースが著しく増えています。すなわち、弊社のGlobe Azure Platformに直接リンクされる機械の台数が増えているということです。データはリアルタイムで詳細に読み取られ、Smart BIダッシュボードに基づいて分散的な自律判断が下されます。これにより、人と機械の両方に向けて生産予測が最適化されます。
予防的&定期メンテナンス
Globe 4.0には、ランドリー内で行われるメンテナンスに関連するすべてのタスクに関する文書と報告書(時刻、使用した部品、作業に関して詳細にまとめた文書類)を作成する弊社のメンテナンスモジュールが組み込まれています。これは、機械に関するアラートの後に自動的に発生する作業オーダー、計測データ(時刻、実行時間、処理量)に基づく予防的メンテナンスの作業オーダー、およびタスク、スケジュール、要件、および部品が事前定義されている手作業オーダーにより行うことができます。
ビジネスコンサルタント業務
私たちは全世界で導入されているランドリーにGlobe 4.0というソフトウェアモジュールを実装することのほかに、産業用ランドリーに関してデジタルデータ戦略を策定するためのガイダンス、管理、およびトレーニングを実施するように求められるケースが増えています。
コンサルタント業務
JENSENの経験豊富なコンサルタントが、新しいテクノロジーの活用に関するコンサルティングを提供するほか、お客様の競争力をさらに高めるべく、JENSENの機械の革新的な性能を最大限に活用するためのサポートを致します。リネンサプライ工場の自動化が目覚ましく広がっていますが、工程の複雑さ、品物の種類、顧客特性、要件に応じて必要となる自動化のレベルも変わります。生産性の高い機械と、ケースに応じた自動化を組み合わせることで、品物の流量を最適化するソリューションを、お客様のご要望とニーズを反映させてオーダーメイドしていきます。これからも弊社はお客様を成功に導く比類のないソリューションをお届けすべく、大規模で複雑なプロジェクトに取り組んでゆく所存です。
入荷仕分けと保管
入荷衣類の自動仕分け
出荷側:衣類の仕分け
測定しなければ管理はできない:データの重要性